UA×菊地成孔「cure jazz」@日比谷公会堂。
最高に最低なこのような状態でこの日の逢瀬に臨むことになるとは予想もしておらず、ある出来事による痛みとナルタンの音楽が聴ける悦びに両側から引っ張られて、身を引き裂かれるような想いを胸に秘め会場に向かったのでした。嵐を呼ぶ女と呼ばれるUAの召還力とナルタンの願いはどっちが優先されるんだろう、台風は日比谷公会堂の上空に待機しているかもしれないわ、という予想に反して夕方から晴れて、満月に近い月がライトアップされた公会堂の斜め上に出ているのを見ていたら、あまりの美しさにブルーな気持ちは静かに退いていき、階段を昇るステップもいつしか軽くなるのでした。
会場に入ると、九段会館を想いださせるような壁や扉の装飾。狭くてギシギシする座席。客電が落ちてメンバーが登場。背中が大きく空いてキラキラ光る孔雀のようなドレスを着たUAは、まるでサバンナを駆け巡るしなやかな野生動物のよう (もちろん肉食)。自信と生命力を体中から放ってすさまじく魅力的でした。隣に立つナルタンは、この一夜を終えたらUAに、そう、交尾を終えたら食べられてしまう雄のカマキリみたいでした。
ナルタンのサックスは本当に素晴らしかった。TPOをわきまえて支配して饒舌で。気取り腐ったMCもよかったなあ。ジャズ・ミュージックに感謝だなんて。ふふふ。
「Joan Of Arc In The Money Jungle」、アルバムとは違うリズムでポンポコポコ、うわーかっこいい(やべっスやべっス)。そしてそれに続く「Honeys And Scorpions」、ポリリズミックにぐるんぐるんしてうわーうわーかっこいい(やべっスやべっスマジやべっス)。椅子なんかなくていいよ。「This City Is Too Jazzy To Be In Love」のナルタンのスキャットと手の動き、あははははは。そしてアンコールのMCの、音で喋る宇宙人たちったら! あらやだ。
うっとりとして、かさかさした気持ちは癒えていくのでした。「cure jazz」の名の通り。憂鬱を官能に変える男ですものね。菊地さんは。
終演後、銀座方面にぶらぶら歩きながら、手に持つ楽器、とくに管楽器、とくにサキソフォンは男性器の象徴であるという話 (女性管楽器奏者で自然でいいかんじな人って思いあたらないよねえ、男勝りにブリブリ吹きまくるか、もしくは過剰なまでのお色気方面にいくかで、どっちもなんだか無理してるかんじ、スウィングガールズみたいなティーンエイジャーなら違和感がないのは性差がまだ発達しきっていないからであろう。など)。そして赤い葡萄酒とともに、クレソンとマッシュルームのサラダ、ムール貝、鴨のコンフィを食べ、カフェオレとピーチメルバできょう一日を締めくくったのでした。
本日のセットリスト
- Over The Rainbow
- Night In Tunisia
- Born To Be Blue
- Music On The Planet Where Dawn Never Breaks
- Ordinary Fool
- バードランドの子守唄
- 溜息的泡
- Joan Of Arc In The Money Jungle
- Honeys And Scorpions
- Luiza
- Hymno F Lambarene
- This City Is Too Jazzy To Be In Love
- [アンコール] I'll Be Seeing You
- [アンコール] Nature D'eau