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熱海紀行2006:1日め

友人と、お昼の新幹線にて熱海へ。あっというまに到着。あっというまに非日常。熱海駅から海岸方面へ、気の向くままにてくてく歩くと、いつしか国道136号線に出ていて、わー、海だ海だー!というわけで初川沿いの、うっかり見落としそうな場所にあるY木旅館にさっそくチェックイン。

予想外に広いお部屋で、しかもお庭までついてる!お茶を淹れてもらって、よく手入れされた畳やガラス戸の木の枠を愛でてくつろぐ。もう今日はこの部屋から出なくてもいいんじゃないかという気持ちにさえなる。かいてきー。なにもしなくていいんだー。

ひとやすみして、起雲閣ヘ。人生に於いて2度目の訪問。やっぱりここ好きだ。喫茶室で一服してから建物をみてまわる。日が傾いた時分の2階和室「大鵬」の窓際と、タイル張りのサンルーム「玉姫」の居心地が特にすばらしい。人がほとんどいないってのもすばらしい。

  • 熱海紅茶 (だいだいマーマレードのロシアンティー)

旅館に戻って、18時から夕食。隅々まで手抜かりなくおいしくて、供してくれる「こま」さんの対応は拍子抜けするくらいにあっさりしているのです。これは何ですか?という質問にも、「えーとこれは、漬物を、なんか加工したものです」「あ、これはお肉ですねー」という気負いの無さすぎる回答。ぎょうぎょうしくなく、押し付けがましくも無く、平然とすごい、そのプロフェッショナルぶりにいたく感銘を受け、俺もがんばろうって思った。

  • 食前酒 (梅酒)
  • 枝にのった柿がくりぬかれて、中にサイコロ型の柿が何かで和えられて入っているもの
  • 漉した芋を俵状にまとめたものに茗荷を乗せたもの
  • 銀杏を揚げたもの
  • 里芋
  • 茸を何かで和えたもの
  • 刺身 (まぐろ、甘海老、烏賊、鯛っぽいもの)
  • じゃこと梅のごはん
  • かぶら蒸し
  • 鮭で牛蒡やいろいろなものを包んで焼いたもの
  • 酢の物
  • 帆立などの海鮮グラタン
  • お肉
  • 太刀魚の天麩羅
  • ごはん
  • お新香
  • しじみの味噌汁
  • デザート (巨峰、牛乳寒天ゼリーっぽいもの)

おいしい料理にうっとりして、ビールでごきげんになり、敷いてもらった布団の寝心地を確かめるべく入ってみたら、あまりの心地よさに二度と布団から出られなくなり、いつのまにか眠りについていたのでした。

海から帰って、ひとっ風呂浴びたあと、ごはん。坂道を登ったところにある食堂で、カレーライスを食べる。宿へ戻る途中、商店と漁協を覗いてイルカ手拭いと爪切りと懐中電灯と水を買う。

【写真】里の様子

13時、K本さんが迎えに来る。白い軽トラで都道を行く。南郷山荘のところから車を降りて山道を歩き、「御蔵島の大ジイ」を見に行く。森の中は涼しくて気持ちよい風が吹いている。

びっしりと苔が生えた木や、倒れて死んでしまってうろのある木など、苔マニアや、うろマニアには堪らないであろう景色が続く。ガイドさんもいなくて時間制限もなかったら、道草食いまくって何時間でも居てしまいそう。

【写真】南郷巨樹の森

ガイドのK本さんの話。

  • 山の途中にある鳥居は平家の落武者を祀ったもので、縁結びと学業の神様だ。
  • 山から出る水を、水工場でペットボトルに詰めている。キャンプなどで山で水を取るには、木から蔓を垂らして、そこをつたう水を集めるとよい。
  • 昔は山の途中に炭焼きの竃があった。今はその跡がたくさん残っている。
  • 椎の木は、ひとつの木の塊はファミリーになっている。真ん中におじいさんがいて、おじいさんが弱ってくるとその周りの子供たちがぐんぐん延びる。子供たちがだめになるとその周りの孫たちがぐんぐん延びる。大きい木だと曾孫や曾曾孫までいる。
  • 御蔵はいまが紅葉シーズンだ。赤い葉っぱや定家葛の花が落ちている。
  • オオミズナギドリは、体は鳩くらいの大きさで、羽を広げると1メートルくらいある。渡り鳥。山の斜面に巣を作り、木に登って落ちながら飛ぶ。斜面を使う場合もある。夜は森の中を歩き回るので、オオミズナギドリが住んでいるあたりは下草が生えない。猫がオオミズナギドリを殺してあそぶけど、頭とムネだけ食べて後は食べない。その残りをカラスが全部食べる。
  • 昔、人家があったところにはシュロの木が植わっている。シュロは皮を剥いでロープにすると、水に強いロープが出来る。昔はシュロの木は必需品だった。
  • あかこっこという鳥は、背が赤いためそう呼ばれているんだろうね。
  • 昔は紫陽花の葉を、おにぎりを包むときなどにラップの代わりに使い、めし盛り葉と言っていた。年に一度くらい、子供らにおにぎりを葉の皿に載せて出していた。
【写真】大ジイ

帰りの車の中で眠ってしまった。16時頃戻ってくる。洗濯機を借りて洗濯しつつ、読書。森博嗣の「スカイ・クロラ」と保坂和志の「世界を肯定する哲学」をちょっとずつ読む。18時、お風呂。

19時、夕食。鶏の唐揚げ、鰹のたたき、ポテトサラダ、ほうれん草のごま和え、キムチ、グレープフルーツ、ごはん、ビール。お腹いっぱいになって部屋に戻り、宿にあった「イルカ・クジラ図鑑」を見ながらいつのまにか眠っていた。23時半ごろに目が覚めて、電気を消してまた眠ったら怖い夢を見てまたもや目が覚めてしまう。今日は盛りだくさんの一日だったな。

25日22時半竹芝発のさるびあ丸にて出航。さっき食べたウェンディーズのハンバーガーがおなかにずっしりと留まっている。だんだん小さくなっていく竹芝。船から会社が見えるのがなんともいえない気持ちだけど、暗い海の上で、東京タワーや日の出桟橋やいつも見えているビルが遠ざかっていくのを見ていると、寂寥感に襲われぞわぞわしてくる。

しばらくデッキで東京湾を眺めてから船室に戻る。ちょっと奮発して特2等にしたので、2段ベッドなのです。周りの席はけっこう空いている。おがまると違って、ベッドには洋服掛けも、枕元の灯りもなし。本を読めない。しかたがないのでiPodでキリンジのロマンティック街道を聴きながら眠りに就く。

3時半に一度目が覚めて、顔を洗ってまた寝る。5時ごろ、三宅島に到着。さらにウトウトして5時半ごろ起床。身支度をして、デッキをひとまわり。御蔵島が間近に見える。

【写真】さるびあ丸

6時5分、御蔵島到着。条件付出航だったけど無事に着いたよ。小雨が降る中、民宿のお迎えが来ておらず、くるくる回っていたら、別の宿の人が送ってくれた。親切......。出鼻をくじかれた感があったけど、「どうしたんでしょうねぇ、でも大丈夫ですよ」と云われ、まあ大丈夫だろう、という気がしてくる。

民宿に着いたら、どうやら27日からの宿泊だと思っていたらしい。でも大丈夫だった。よかった。さっそく8時半にイルカ船のお迎えが来ることになり。とりあえずソファのある休憩所に通され、船に乗る前に買っておいたおにぎりと豚汁で朝食にする。お部屋を用意してくれたので、座布団3枚を横に並べてしばし休憩。7時43分現在、外は土砂降り。

8時半、今日は宿の船が出ないので、別の船であるおおいぬ座号(仮)に同乗させてもらう。イルカ研究家のブロンド美女とその仲間たちご一行様です。船のTちゃんによると、ここ3日くらいは気持ち悪いくらい凪らしい。波はほとんどなく、船酔いの心配もなさそう。

さて、海に出てそれほど経たないうちにイルカさんたちに遭遇。トビウオを追いかけるイルカたち。最初に出会ったのは6頭くらいの群れ。まんまるの痛々しい傷があるイルカが間近に寄ってきて、あまりの迫力にびっくりしてしまう。2度目は、2〜3頭のイルカ。あっという間にどこかへ行ってしまったけど、小さい魚の大きな群れが翻るたびにキラキラ光を反射して泳いでいて、うっとりと見惚れてしまう。あとから訊いたら、これはキビナゴらしい。3度目は、20頭くらいの大きな群れ。小さくてつるつるした赤ちゃんイルカを連れたお母さんイルカもいる。赤ちゃんが居るのに近くまで来てくれた。おおおおおう。それから、あたたかくてきれいな海で、15頭くらいと遭遇。場所によって温度とか透明度とか全然違うのね。というかんじで、島を一周するあいだ、ずーっと海は穏やかで、でもさすがにウエットなしで水に入ったり出たりしていると体が冷えてガクガクしてきました。メガネ男子Jスティンが「ヘンナあめりかノかぷちーの、飲ミマスカ?」と言って温かい飲み物をくれたので、すごくすごく温かくておいしくて生き返るようでした。

イルカのほかには、5メートルくらい本当に空を飛ぶトビウオ、キラキラ光るキビナゴの群れ、黄色に黒の縞々の熱帯魚みたいな魚、黒い平べったい魚、ウミガメなどを見る。

【写真】イルカ

今回、AいちゃんにIXY DIGITAL 500と防水ケースを、YーへいさんにFROGEYEをお借りして、万全の態勢で水中撮影に臨んだのですが、FROGEYEは水中だと自動的にフラッシュが発光してしまい、イルカと泳ぐときはフラッシュ禁止なので使えず、主にIXYで撮影したのでした。でもね、カメラ持たずに泳いでるときのほうが、イルカとの交流に集中できてよかったみたい。

時間
8h30-11h00
天気
曇り時々小雨
水温
不明。冷たいところとあったかいところがあった。
全体的に凪。船もほとんど揺れない。
おおいぬ座号(Oモリくん、Tモちゃん、ブロンド美女、ブロンド熟女、カプチーノのメガネ男子、カメラマン、私)
装備
水着、ラッシュガード、サーフパンツ

お昼ごはんは芸術館の近くの奥まったカヘにて。外のテラス席しか空いてないけど風が強いのでオススメしません。と言われたけど、テラスに挑戦してみる。ぽかぽかあったかくて風もそよそよ気持ちいい程度で、ちょうど良かった。ランチのセットは水戸価格でおなかいっぱい。

Aこちゃんが最近夢中になっているご朱印集めについて拝聴する。伊勢神宮の袋から、鶴岡八幡宮のご朱印帳をおもむろにとりだすAこちゃん。おおおおお。ご朱印、ちょっといいかも。明治神宮のご朱印帳がオススメだそうです。

水戸芸術館の外の芝生には、くつろぐ親子連れとかしゃぼん玉で遊ぶこどもとか。いかにもな休日。

アートタワー水戸の展望台の内部は宇宙船みたいで、丸い窓を覗きながら「うおーすげえ」とかなんとか喋ると自分の声がうるさい。今日は風が強くて、タワー全体がゆらゆら揺れている。

ちょっと足を延ばして大洗水族館へ。入口入ってすぐのところにある鰯の群れが回遊している水槽は絶品だと思う。でもうまく撮れない。ちなみに建物の外に飾ってあった鯉のぼりの鯉が鮫だった。Sキック、混んでるなか連れてってくれてありがとう!

寒いのに、波と戯れる。さむいよー。勝田で食べたお魚はとても美味しかった。海の近くっていいねえ。

『人間の未来へ -- ダークサイドからの逃走』展を鑑賞。マイケル・ライトの『100 SUNS』が強烈だった。核実験のキノコ雲の写真、なんだけど、すごく美しくて、恐ろしい。それから、橋本公の『1945-1998』もよかった。1ヶ月を1秒に縮めて、核実験が行われたときに世界地図上の該当箇所が光ると同時に音が鳴るんだけど、規模によって音の高さが決まっているっぽく、それがまるで音楽のようになっていた。というか音楽だよね、あれは。

「人にとって薬になるか毒になるかは、そのものの性質によるのではなく、使用量によるのだ。適量の範囲を越えると恐ろしくて不気味なことになるんだけど、そこには人が良いとか美しいって思うような何かがあって、誘き寄せられてしまう人も沢山いる。そっちに行くか行かないかは、その人の意識によって決まるんだ」というようなことを思った。

それから、「クリテリオム67 本城 直季」。恵比寿のgood design companyの展示とは違う内容で、スキー場と、ハワイのビーチ。つくづくマン盆栽だ。恵比寿でより、水戸芸でのほうが、じっくり楽しく鑑賞できました。パンフレットもカラーで写真が載ってて気前良かったよ。

Kyoto to Tokyo

京都へ、庭と喫茶店を巡る旅にいってきました。たくさんの素晴らしいものと人々に出会ったよ。持久力のなさを考慮して、詰め込み過ぎずのんびり旅しようとしてたのですが、もっとのんびりでもよかったかも。最終日午後と帰ってきた次の日は疲労困憊して抜け殻のようになり、心ここに有らずといった有り様でした。雨の日は低気圧だから行動量をふだんより2割減くらいにしとかないとね。

というわけで、京都紀行、徐々に書いていきます。

京都紀行2006:ソワレ

最初にこの喫茶店を知ったのは何でだったかなあ、忘れてしまったけど、ことあるごとに紹介される蒼い喫茶店、ソワレ。珈琲おいしかった。噂のゼリーを注文しなかったのと、二階席に座れなかったのが心残りだけど、それはまた今度。

京都紀行2006:東福寺

本日はあいにくの雨。100m歩いただけでも靴の中までぐっしょりするくらいの土砂降りです。重森三玲作つながりで、東福寺の方丈庭園へ。雨の日の枯山水もまた風情がありますね。枯れているはずなのに濡れているというその矛盾。そして我々には馴染み深いドットによる苔と敷石の庭、デジタルとアナログの邂逅そして融合。素敵じゃないか。ぼんやりと頭の中を真っ白にするにはうってつけの場所です。雨のせいか人もまばらで、お庭ひとり占めなんじゃなあい?最高なんじゃなあい?古くて巨大な建物はそれだけでもう既にすごいです。

ひととおり見学を終えて外に出たら、砂利のところに誰かが書いた砂紋があって、ぐっと来ました。

京都紀行2006:進々堂

通りすがりの古書店で中田功・粟屋充著「レイアウトメソッド」を100円で購入。京都大学前の進々堂でひと休み。ホットレモネードとクロワッサン。おいしい。店内にいる人や外を歩いている人がみんな京大生に見える。

京都紀行2006:重森三玲邸

ひんやりとしたお座敷で正座。イサム・ノグチの照明。四国から来た青石と、少なくとも一週間に一度は書き直される砂紋と、青々とした苔と、吹き抜けていく風。好刻庵でいただくお菓子とお抹茶。掃除はすなわち浄めることだというお話。すごくすごおくすばらしく居心地よかった。

作庭家が作るのは庭とその設計図であり、管理して維持していくのはクライアント次第、なのでぜんぜん駄目になっちゃう可能性も更に素晴らしくなる可能性もあるっていうお話にはとても親近感が湧きました。我々の仕事と似ているね。